… 演奏者 …

【唄】　　　　　東音宮田哲男・今藤美知・今藤政貴・今藤長一郎・今藤政之祐
　　　　　　　　杵家弥佑・杵屋巳之助・今藤政子・今藤美知央・今藤政穂

【三味線】　　今藤政太郎・稀音家祐介・今藤美治郎・杵屋栄八郎・今藤長龍郎・今藤政十郎
【笛】　　　　　藤舎名生
【囃子】　　 　藤舎呂悦・藤舎華鳳・藤舎清之・他２名
【十七絃】　　岡崎敏優
【打楽器】　　臼杵美智代
【シンセサイザー】奥田祐子

企　　画：今藤政太郎
主　　催：THEATRE1010
製　　作：いずみホール（財団法人住友生命社会福祉事業団）

… 解　　説 …

三味線音楽の未来を感じるひととき！

　今藤政太郎企画による〜「三味線音楽の世界」。
邦楽界を代表する三味線の名手、今藤政太郎氏のプロデュースによる本企画は、
大阪のクラシック音楽専用の「いずみホール」で2002年からはじまり、今回で五回目を迎える邦楽界でも話題の演奏会です。 昨今、邦楽器は学校の音楽教育にも取り入れられ、洋楽器とのアンサンブルやオーケストラとの協演などもめずらしくありません。
　しかし、歌舞伎や日本舞踊の舞台は別として、邦楽のみを純粋に聴く機会は意外と少ないのが
現状です。 今藤政太郎氏といずみホールが五年にわたって繰り広げてきたこのシリーズの
ポイントはふたつ。
　まずは斬新なプログラミング。古典と新作を組み合わせることで、伝統に培われた邦楽の歴史と
新しい世界を一晩で鑑賞できます。
　そして2番目は豪華な演奏者の顔ぶれ。人間国宝をはじめとする邦楽界のトップクラスが勢ぞろいする舞台は、邦楽ファンならずとも必聴のステージです。
　どちらもこれは今藤政太郎氏ゆえに実現可能な企画です。 今回は、そのいずみホールでのステージをシアター１０１０に移し、東京の邦楽ファンの方々にも楽しんでいただこうと思い、東京公演を実現させるはこびとなりました。

古典と新作による意欲的なプログラム

　　「地獄八景冥途之御客」
　　「月彩」
　　長唄「京鹿子娘道成寺」

　古典からは美しい舞踊で人気の高い名曲、「京鹿子娘道成寺」（きょうがのむすめどうじょうじ）。
紀州道成寺の鐘供養の場に現れた花子という名の魅惑的な白拍子が、鐘を拝ませてもらうために様々な舞を披露する。 その舞にうっとり見惚れる僧たち、しかし突如として鐘が地に落ち、花子こそが鐘に怨念を持つ清姫の化身であったことが知れます。安珍清姫の蛇伝説で有名な作品です。

　新作は、題材を上方落語の名作「地獄八景亡者戯」（じごくはっけいもうじゃのたわむれ）に求め、今藤政太郎氏が今回の公演のために書き下ろすものです。
　「地獄八景亡者戯」は戦後に一時消滅した古典の名作を、人間国宝である桂米朝氏が現在の形に仕立て上げた大作で、地獄へ落とされた人間が、閻魔大王にことごとく逆らい、 最後には閻魔大王も匙を投げてしまうという筋です。今回はこれに政太郎流アレンジを加えた台本に仕立て上げ、長唄作品として発表します。どんなオチが待ち受けているのか、今から楽しみです。

これに、現代の箏の名手、米川裕枝の作品「月彩」（つきあや）を加え、バラエティに富み、かつ未来を見据えた演目となっています。