【出演】
津嘉山正種:市川段平
岩倉高子 :女房お春
佐藤祐四 :澤田正二郎
永幡洋 :倉橋仙太郎、亭主源吉
山野史人 :兵庫市(道具方)、金澤(歩方)
堀部隆一 :徳次郎(狂言方)
村田則男 :木暮(艶歌師)、豊島(興行師)、医師坂田
井上智之 :辻(艶歌師)、劇場事務員
今井和子 :丸髷の女、階下の女房お杉
万善香織 :おきく(段平の子)
田中耕二 :楽屋番、引抜の男
泉晶子 :葉山あけみ(女優)
阪上和子 :附馬の女、梳き髪の女
川上英四郎:すし屋
小暮智美 :関東煮屋の娘おくま、小女・お茶子
石井淳 :塚口(劇団員)、電報配達夫
山撫G樹 :高島(劇団員)
高義治 :山本(劇団員)
高松潤 :川上(劇団員)
豊田茂 :小笠原(劇団員)
中村大輔 :小倉(劇団員)
【スタッフ】
作 :長谷川幸延
補綴・演出:鈴木完一郎
装置 :柴田秀子
照明 :中川隆一
殺陣 :國井正廣
音楽 :ノノヤママナコ
音響 :高橋巖
衣裳 :岸井克己
舞台監督 :安藤太一
製作 :紫雲幸一、佐々木聡一
【上演にあたって】
長谷川幸延によって新国劇に書き下ろされた『殺陣師段平』は、市川段平に島田正吾、
澤田正二郎に辰巳柳太郎という配役で、昭和24年の東京・有楽座で上演されました。
本作は、劇中に澤田正二郎をはじめ新国劇草創期の劇団員が実名で登場する、いわゆるバック
ステージもので、その背景に歌舞伎と新劇の中間の大衆演劇を目指した新国劇創立の理念や
澤田正二郎の思想が垣間見られます。新国劇を創立して約30年後、創立メンバーいなくなった頃に本作を上演していることは大変興味深いものです。
青年座は2004年に創立50周年を迎えました。その記念公演第一弾として上演されたのが本作です。青年座は創作劇の上演を旗印にして創立した劇団です。その青年座が創る『殺陣師段平』には青年座創立理念と約50年の間に培われてきた青年座のリアリズムが存在します。
本作品は、殺陣(立ち廻り)に命を懸けた男の半生を描いたものですが、それはそのまま段平役の津嘉山正種の俳優としての生き様に重なります。津嘉山は昨年夏に脳梗塞を患い、年内の舞台を全て降板してリハビリに努め、ようやくこの『殺陣師段平』で舞台復帰することになったのです。
この津嘉山を中心にして、青年座を支えてきたベテランから次代を担う若手まで幅広い年齢層の俳優が出演します。スピード感あふれる展開と絶妙のアンサンブル、そして迫真の立ち廻りに
ご注目下さい。
今回、青年座としては初めて北千住のシアター1010で東京公演(5月12日〜14日)を行います。
その他に、3月14日の鳥取公演を皮切りに、演劇鑑賞会・中国ブロック、近畿ブロック、静岡県ブロック、沖縄など、全国44会場(76公演)を巡演します。
【ものがたり】
芸術座を退団した澤田正二郎は、大正6年、新国劇を旗揚げする。新国劇の頭取(楽屋世話役)の市川段平は、元は歌舞伎の殺陣師だった。字も読めず女好きで酒びたりの段平は立ち廻りのことしか頭にない。新国劇の次の出し物に「国定忠治」が決まった。
段平は世話になった澤田のために役に立ちたいと願うのだが、澤田は歌舞伎の型にはまった
段平の殺陣を受け入れようとしない。段平には、澤田が確立を目指すリアリズム演技の理論が
理解できずに悩み苦しむ。ある出来事をきっかけに段平は「国定忠治」の殺陣を任された。
その「国定忠治」は大阪で大ヒットして念願の東京へ進出することになる。
しかし、澤田はやはり殺陣そのものを客寄せの道具としかとらえていなかった。段平は新国劇を
離れる決意をする。そんな時、髪結いで生活を支える妻・お春の危篤の報せが大阪から届いた…。