【出 演】
神 敏将(劇団民藝)
春咲ころん(宝塚歌劇団 月組)
松永隆嗣(劇団ファーストライン) 三竹詩乃 松高タケシ 黄色い稲妻(Air Studio) 天野恭子
蔦木美津子 氏原佑介(オフィス童武) 奥村修平(東宝芸能) 三野友華子 佐々木遼子
井手内萌 小原春香 西平せれな 井上万葉 飯田花歩 水島詩歩子 小野愛実 山田葉子
竹澤未来 清野智之
【スタッフ】
作・演出・振付:荒巻 正
音 楽:山下 透
振 付:山本眞己/荒巻 正
美 術:野村真紀(東宝舞台)
照 明:高橋朋也(東京三光)
衣 裳:伊藤早苗
音 響:まんおよしのり
演 出 補 :松高タケシ
舞台監督:岩戸堅一(アートシーン)
ロゴデザイン:広瀬克也
制 作:山本理恵子 塩月洋子
Romantic Techno Music
プロデュース: 山下 透
協 力:(株)劇団民藝
(株)宝塚クリエイティブアーツ
後 援:足立区教育委員会
社団法人日本青年会議所関東地区東京ブロック協議会
主 催:シルフィー製作実行委員会
【あらすじ】
とある片田舎、風が吹きぬける丘にもの憂げにたたずむのは
都会から転校してきたばかりの兄あつしと幼い妹のみなこ
夕日を浴びながら、ゆきすぎる風に癒されているふたりに難癖を
つけてきたのは、よそものに偏見をもつ地元の番長のアズマたち
その問答無用の喧嘩からふたりを救ってくれたのは
みなこが、夢に思い描いていた風の精霊たちでした
ふたりは5年前の飛行機墜落事故の唯一の生存者だったのです
しかも…当時は10歳の双子だったという
同乗していた両親の亡骸はみつからないまま
みなこは、心も身体も、その時計を止めてしまったというのです
精霊たちは、みなこの身体を離れた魂は、両親の魂を探して
風の中をさまよっているのだと告げます
乱暴者にしか見えなかったアズマも、ふたりの想いに深く共感し
友情に結ばれて、ともに神秘の森へと歩を進めるのでした
はたして、みなこの魂は、その身体にかえりつき
今という時間をとりもどすことができるのでしょうか!?
【作品解説】
ジャパニーズ発 自然と魂の「和魂洋才」ミュージカル
日本発のミュージカルということが“大命題”であった。
何をして日本なのか・・・。
自分の中にある情緒を信じて、書き始めるしかなかった。
題材はやはり、世情を憂う気持ちから端を発したように思う。
「自分はひとりぽっちなんだ」というような見出しで
自らの命を絶つ若者を考察する記事が夕刊に連載されていた。
人が人の心を支えられない世の中なんて…。
時には弱味をさらけ出して、励ましあえる関係は小説の中だけの理想なのか。
誰かと競い合わなきゃいけないのが、生まれてきた定めなのだろうか。
疑心暗鬼…嫌な言葉だ。信じる気持ちが産出すものこそ真実だと思うのだが。
福知山線の脱線事故も記憶に新しい。
御巣鷹山の日航機墜落事故からは20年の月日が流れていた。
未然に防がなければならないことから、神様の悪戯としか思えないことまで
日常の様々なところで悲劇は突発する、どこかで誕生する新しい命と引き換えに
嘆いても、嘆ききれない悲しみを抱えて生きる人の強さよ。
それは、まさしく自然と共棲している姿なのではないだろうかと、
時の流れは自然の最たる慰めではないだろうか。
大自然を目の前に、適うはずもない人間のちっぽけさは逆に雄大だろう。
「シルフィー」とは風の聖霊の意味である。
奄美大島でマングローブを見に出掛けた展望台で
草木をそよがせて、ひっきりなしに話しかけてくるような風を浴びた、初めて
森が生きていることは、自分とは無関係なところでは知っていたが
すべからくこの世の全てが生きているんだという実感が湧いて、勇気がみえた。
必然的に導かれるようにひとりになった、それがひとりじゃないことを教えてくれた。
気持ちがさざめいて、神経が潤むのがわかった、時間に色気が添えられた。
今にして思えば、先回りした慰めを聴かせてくれたようだった。
大切なことは、やはり目には見えないらしい。
それでも、「ひとりじゃないって信じていいよね」って自然に問いかけたい。
答えを聞きわけようとする事は、必ずしも必要なことではないかもしれないが。
舞台は観る人の胸を熱くして、勇気と希望を与えなければ
ひとは何度でも生まれかわれることが出来る生きものだと憧れて。
荒巻 正(脚本・演出)