【キャスト】
坂口良子 西川扇与一 沢竜二
【スタッフ】
原 案:鶯亭金升
脚 色:竹柴源一
演 出:竹柴源一・坂東鼓登治
振 付:坂東鼓登治
作 曲:
作 調:望月太左之助
宣伝写真:石郷友仁
宣伝美術:アトリエ[アール]伊藤理佳
宣伝協力:る・ひまわり
衣装協力:大和夢之介・外市株式会社
プロデューサー:竹柴源一
主 催:NPO法人 日本伝統芸能振興会
企画・制作:舞台創造研究所
【宣 言(ご挨拶に代えて)】
私ども舞台創造研究所は、日本の伝統文化である歌舞伎をより多くの人たちに広めることを
目的にこれまで活動してまいりました。当研究所の前身である柝の会における講座をはじめ、
「かぶきはともだち」公演では低料金でわかり易い歌舞伎を心がけ、また、小芝居の復活・若手
俳優への出演の場の提供を目的とした「歌舞伎フォーラム」公演は、平成19年2月で第21回を数え
るほどになりました。さらに昨年は、日中国交正常化35周年の文化庁委託事業において中国公演も執り行いました。
そしてこのたび、更なるステップへと進むため、これまで長い間タブーとされてきた核心に敢えて
触れ、もう一度演劇としての歌舞伎を見つめ直すことに致しました。
唐突ですが、皆様は歌舞伎というものを一体どのように理解されていますでしょうか?
我が国が世界に誇れる伝統芸能であることはおそらくご承知頂けることでしょう。しかし同時に、
「歌舞伎は特別(な世界)」という意識をどこかでお持ちなのではないでしょうか?
残念ながら現代では(海外は勿論、日本国内においても)「歌舞伎」は特別な人達にしかできない
(許されない)演劇、というような捉えられ方をされているようです。しかし元来、歌舞伎俳優は
特別な人々の集まりではありませんでした。封建制度が確立していた江戸時代、歌舞伎こそが
唯一、自由で平等な社会ということで民衆(大衆)の心を捉え、形成し熟成されていったのです。
実力主義を貫いた憧れの世界でした。だからこそ花が開いたのです。
そこで今回私どもが企画しご案内する舞台には、歌舞伎を演りたくても演じることが出来なかった
人達に集まっていただきました。この人達がこれから始まる稽古によって芸を身につけ、磨き、
皆様の目に歌舞伎役者として映ったならば幸いです。
私たちは「特別な生まれだからできる家柄歌舞伎」ではなく、「訓練した結果できる歌舞伎」を実力主義の下で行い、演劇としての歌舞伎の再興を目指したいと思う次第であります。
舞台創造研究所 所長
日本伝統芸能振興会 専務理事
竹柴源一
【公演概要】
(構成)
この公演はワークショップ、舞踊、芝居の三部構成です。
一部では三番叟の演者である踊り手(男性)が、化粧を施すに従って操り人形へと「変身」していく
さまを、大型スクリーンを使用し、化粧・着付け・かつらという順番で臨場感たっぷりにご覧頂き、
二部では実際に人形振りの三番叟という大変御目出度い舞踊をお届けいたします。
そして三部では今回の公演のメインとなります「応挙の幽霊」を異色のコンビでお届けします。
(みどころ)
この舞台では今世紀 女性が初めて歌舞伎の舞台に登場します。ミス・セブンティーンとして
デビューし、その後は愛くるしい笑顔で世の男性たちを虜にした坂口良子。年齢を重ね、
今回は日本舞踊と歌舞伎に挑戦という大きな賭けを自らに課しての舞台となります。
相手役は大衆演劇界の第一人者・沢竜二。齢70歳を超える現在も、大衆演劇ばかりか蜷川演出
による数々の舞台やニューヨーク、ブロードウェイ公演を毎年俄然精力的に活動を続けています。
落語「幽霊図」をもとに、最後の戯作家と呼ばれた鶯亭金升が作り上げたこの作品で、異色ともいえる二人が、歌舞伎の舞台で一体どんなやり取りを見せてくれるのでしょうか。必見の作品です。
【あらすじ】
恋女房を亡くしたあと、一人暮らしをしている道具屋・甚三は、ある日骨董市で“丸山応挙の作品”と
して売られている二枚の幽霊画を見つけ、贋作を承知で二束三文で買ってきます。
これで一儲けしてやろうと考えた甚三は、箱書きに細工を施し、骨董には目がない呉服屋の
若旦那・松五郎をまんまと騙し、高値で売りつけることに成功して手付金を受け取ります。
思わぬ上首尾に機嫌を良くした甚三は、女房の仏前にお酒を供えて報告し、買い手の決まった
幽霊画を前に気分よく晩酌を始めます。しばらくすると何やら物音がし、みると、壁に掛けた幽霊画から幽霊が抜け出ているではありませんか。どうやらこの絵は本物(応挙の作品)だったのです。
腰を抜かさんばかりに驚く甚三でしたが、せがまれた末に酌をしてやり、やがて幽霊と差しつ
差されつ、杯を重ねることになるのですが、この幽霊、実は大の酒好きでしかも酒癖が悪くて…。
商売上手な男やもめと、騙され易い金持ちの若旦那、そして酒好きのうえに酒癖の悪い
美人幽霊。不思議な取り合わせのこの三人が軽妙なテンポで展開していく掛け合いは抱腹絶倒のおかしさです。