【出演・スタッフ】
原 作:向田邦子
脚 本:大野ゆう
演 出:赤堀二英
出 演:朝丘雪路 赤井英和 篠原ともえ ヒロシ 仁支川峰子 他
美 術:石井みつる
照 明:戸谷光宏
音 楽:相内勝雪
音響効果:山本能久
衣 裳:チーム・リュック
ヘアメイク:福島久美子
舞台監督:南部 丈
【あらすじ】
長野に住む岸本とし江(58歳)は、20年前に小学校の教員だった夫をなくし、娘の厚子(25歳)を
女手ひとつで育ててきた。仕立物の内職でどうにか二人暮らして来たのだ。日がな一日カタカタと
ミシンを踏んでいる母の苦労が見に沁みていた厚子は、手に職を持つことを望んだ。それはごく
自然の成り行きともいえる。とし江も賛成し、厚子は地元の高校を出るとすぐに上京。看護学校へと
進学した。その厚子も卒業し、今は大学病院で看護士として働き始めている。離れ離れで暮らして
はいるものの、この20年間の親子の絆は強い。お互いに、娘を思い母を思う日々を過ごしてきた。
厚子からは、けなげな手紙が届く。娘の真っすぐな気性に安心しながらも、返信には、励ましの
言葉を書き連ねるとし江。いつもの手紙のやりとり。しかし厚子には、その手紙にどうしても書け
ないことがあった。そして、とし江もまた…。
厚子が手紙に書けない事情、それは東京でできた恋人、良司(25歳)のことである。
とし江が厚子に望む結婚相手は「キチンとした学歴、威張って名刺の出せる職業、妻子を養って
ゆける収入」が最低の条件だと言う。そのどれもがあてはまらない良司。切羽詰った厚子は、つい
に休暇を取り、悲壮なまでの決意を胸に、とし江の住む長野へと向かう。恋人の良司をとし江に合わせるために。
きまじめで堅物の母、とし江は、果たして良司が気に入るのか。突然の厚子の帰省に、大慌てのとし江。なぜならその時、とし江の家では…。
開けてみるまでわからない。人生はびっくり箱。